塩田跡地内を東西に走る約2.5kmの中央排水路の上流部分は幅が狭い上に河床に土砂も堆積し、台風等の大雨により塩田跡地や中央排水路上流域の農地・住宅に浸水被害が発生する恐れがあったため、浸水リスク軽減の目的で、上流部分400mの河床掘削拡幅工事を行い、所有者の瀬戸内市に引渡しを行いました。
堤防の下は海水が流入する構造になっていて、塩田跡地に海水が流れ込み、跡地南側で塩性湿地が形成されています。跡地の海寄り北側には市が保有・管理するポンプ室があり、これまで3台の排水ポンプが稼働して塩田跡地内の水が集まる中央排水路から排水し、水位を調節していましたが、排水能力向上と既設ポンプの故障時のバックアップのため、排水ポンプを1台増設するとともに、老朽化したポンプ室建屋を補強しました。さらに、停電時の備えとして、非常用電源も新たに設置して市に寄附しました。
塩田跡地と海を隔てる長さ約1.6kmの錦海湾堤防は大地震が起こると土手部分が液状化によって沈下する可能性があるため、堤防の地下深くの固い岩盤層まで届く長い鋼管杭を打ち込むことで錦海湾堤防を補強しました。大地震で土手部分が沈下しても鋼管杭は沈下せずに残り、太陽光発電所だけでなく近隣にお住まいの皆様の住居や財物を津波や高潮から守ることができます。堤防の安全性を追求しながらも、海水が流入する構造を維持することで、希少な動植物の生息する塩性湿地環境も保全することができる工法です。堤防南北端の玉津港、師楽港には防潮堤を設置し、災害時の海水の侵入を防ぎます。
工事完成後、市に寄付しました。